経理が人手不足になる原因や解決策を紹介

経理が人手不足になる原因や解決策を紹介

経理の人手が足りずに悩む企業は、意外にも多いでしょう。しかし、経理の人手不足を解消できなければ企業全体に影響が及ぶ可能性があるので、対策は必要です。

本記事では経理が人手不足になる原因や、解決策を紹介しています。また、人手不足ならば未経験者でも採用されるのか気になる方もご確認ください。

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経理が人手不足になる原因

なぜ、経理職の人材が不足するのか、その原因を下記の4つにわけて解説します。

  • 専門スキルをもつ人材が見つかりにくい
  • 業務の複雑化
  • 少子高齢化による労働人口の減少
  • 人員補充に消極的

経理はどの会社にも必要な部署で、創業当初から設けている企業がほとんどです。しかし、人が集まらずに悩んでいる企業も少なくありません。

専門スキルをもつ人材が見つかりにくい

募集をかければ応募自体はあるかもしれませんが、専門スキルをもつ人材を確保するのは難しいでしょう。

もしも採用のハードルを下げて経験や知識が浅い人材を採用したとしても、教育のコストや時間がかかるため企業側の負担が大きくなります。そして、必ずしも10年・20年と活躍してもらえる保証もありません。

結局、経験者だけに特化して採用活動をしても、なかなか企業側が求める人材が見つからないので、採用できるまで難航しがちです。

業務の複雑化

経理業務はルーティンワークのイメージもありますが、実際は専門的な知識・スキルが必要です。企業によっては、パソコンスキル以外にも簿記・法令・税制などの知識が求められます。

また、税制が改正されるたびに知識をアップデートしなければいけません。意欲が低い人材を採用してしまうと、業務が滞る可能性があります。

その他、経理業務以外に企業独自のルールも覚えなければいけません。業務の難易度が上がることで「自分には向いていない」と思い、他の職種へ転職する人も少なくないでしょう。

もしも高いスキルをもつ人材を採用できても、なんらかの都合で短期間で退職となってしまえば、また一から採用活動をする必要があります。

少子高齢化による労働人口の減少

経理に限ったことではなく、少子高齢化の影響でそもそも労働人口が減少しています。実際に人手不足に悩まされる企業も多く、向き合い続けなければいけない課題です。

これからも人口は減少していく可能性が高いため、少ない人材でも業務を回せるような仕組みを作る必要があります。

人員補充に消極的

経理は直接的な売上にはつながらない間接部門のため、採用が後手になりやすい点が挙げられます。もしも組織全体が人手不足の場合は、営業や製造などの利益に直接関与する部署から人材を補充するでしょう。

また、間接部門のなるべく人員は最小限にしたいと考える企業もあり、会社自体が経理部門の採用活動に消極的なケースもあります。その結果、慢性的に人材が不足する事態に陥ってしまいます。

経理の人手不足が原因で考えられる問題

経理担当者の人手不足で起こりかねない問題・トラブルは以下の3つです。

  • 業務の負担が大きくなる
  • ミスの発生リスクが高まる
  • 既存社員が職場を離れてしまう

企業によっては経理部の採用の優先度が低い場合や、募集をかけても優秀な人材が集まらないなどの事情はあるでしょう。

しかし、経理担当者の人手不足の状況が続けば企業全体に影響が及ぶ可能性があるので、放置してはいけません。

業務の負担が大きくなる

経理担当者が減り業務がストップすると、企業全体に影響が及ぶ可能性があります。たとえば、月次決算の完成が遅れると経営判断が遅れてしまいます。

また、支払い処理や請求書発行の業務が滞るかもしれません。当たり前ですが、人員は不足しているのに業務量は変わらなければ、一人ひとりの負担が大きくなるのは、いうまでもありません。

経理業務の遅れは企業全体のパフォーマンス低下につながる恐れがあるので、作業がスムーズに進むように適切な人員を確保する必要があります。

ミスの発生リスクが高まる

経理は会社のお金を管理するため、とくに正確性が求められる部門です。しかし、人員が不足している影響で多忙となり慌てて作業すると、人間なのでどうしてもミスが発生しやすくなります。

もしも余裕をもって業務に臨めていたら、最終チェックの時間も確保できるので事前に防げる失敗もあるでしょう。経理の業務は、些細なミスがのちに大きなトラブルにつながる危険もあります。

最悪の場合は会社の信用問題にも関わるため、落ち着いて仕事ができる環境を構築しなければいけません。

既存社員が職場を離れてしまう

既存社員が辞めたくなるような労働環境であれば、ますます人手不足に陥ります。職員が減っても業務量は変わらないため、一人当たりの負担は増える一方です。

とくに経理は締め切りが決まっている業務も多いことから、休憩時間中にも仕事をしたり残業が多発したりするかもしれません。

労働環境が悪化すれば、離職率が高くなる可能性は十分に考えられます。また、休憩時間を確保できなければ集中力の低下につながるため、ミスの発生率も高くなるでしょう。

経理の人手不足を解消するには?

経理の人手不足を解消する方法を、下記の4つ紹介します。

  • 既存業務を見直す
  • ITツールを活用して業務を効率化する
  • 人材育成に注力する
  • アウトソーシングを検討する

経理の人手不足はパフォーマンスの低下や、ミスを誘発する原因となります。些細なミスでも会社の信用に影響する可能性があるため対策が必要です。

募集方法を変えてみたり、採用のハードルを下げてみたりするのも一つの方法ですが、それでも人が集まらないかもしれません。また、採用・教育のコストを考えると必ずしもベストな選択とはいえないでしょう。

それならば、今いる人員で業務を回すことを検討しなければいけません。

既存業務を見直す

経理の業務を把握できていなければ、問題点がどこにあるのかわかりません。改善点を探すためにも、まずは既存業務を洗い出しましょう。

すべての業務を把握できれば、業務フローを見直せて適切な対策を提案できます。たとえば、少ない人員でも問題が無い業務に人手が偏っていれば配置を見直せます。

また、他の部署の書類の提出が遅くて作業が滞っている場合は、締め切りを早めるのも一つの方法です。このように、改善点は一つではありません。

いずれの業務も今より効率よく作業ができれば、少ない人数でも乗り越えられるかもしれません。まずは、既存業務の見直しからはじめましょう。

ITツールを活用して業務を効率化する

まだ、ITシステムを活用していない場合は、導入を検討してみるとよいでしょう。

デジタル化を推進すれば、限られた人員でも業務を回せる可能性があります。とくに、定型業務はITツールを活用するとある程度自動化できるので、積極的に活用すべきです。

たとえば、仕訳入力はAIを用いると自動化できるだけでなく、正確性も向上します。また、書類をデジタルで作成・管理ができると、印刷・ファイリングの時間を削減できて文章の整合性もチェックしやすくなります。

ITツールを活用して業務を効率化できると、他の業務に時間を割けるのがメリットです。初期費用はかかりますが、コア業務に充てられる時間が増えるためおすすめです。

人材育成に注力する

現段階でスキルが備わっていない社員でも育成すれば立派な戦力となるため、教育に力を注ぐのも一つの方法です。

人材育成には、OJTやOff-JT、eラーニングなどの方法があります。Off-JTとは、職場を離れた場所での研修や学習全般を指します。

もしも、OJTを行う時間・社員がいないのであれば、Off-JTやeラーニングを活用するといいでしょう。

経験が浅い社員でも、スキルを習得すれば業務の効率化に大きく貢献できます。また、現段階で人手不足では無い企業も、将来的に既存社員がいなくなる可能性を考慮して教育制度は積極的に取り入れるべきです。

未経験者でも教育をして業務に取り組める状態を構築できれば、少なくとも人手が足りない状況は打破できるでしょう。

アウトソーシングを検討する

アウトソーシングとは、業務の一部を外部へ委託するサービスです。人手がどうしても足りない場合は、検討してもよいでしょう。

外注できる業務の例は、下記のとおりです。

  • 給与計算業務
  • 記帳業務
  • 決算業務
  • 年末調整

外部委託するとプロが対応してくれるため、スピーディかつ正確性の高い業務が期待できます。また、人材が不足するたびに頭を悩ませる必要もなくなるでしょう。

ただし、情報を外部の人間に見られる、費用がかかるなどのデメリットはあります。しかし、採用活動をして人材育成するコストは抑えられるので、選択肢の一つとしてお考えください。

人手不足なら未経験でも経理に転職できる?

経理は専門性の高い知識・スキルが求められる職種のため、人手不足だといわれつつも経験者を募集している求人が多いでしょう。

ただし、簿記の知識があれば未経験者でも採用される可能性はあるので、資格に挑戦するのはおすすめです。日商簿記3・2級の概要は下記のとおりです。

日商簿記3・2級の概要
3級2級
試験時期2月・6月・11月
※ネット試験は随時実施
2月・6月・11月
※ネット試験は随時実施
受験資格なしなし
受験料(税込)2,850円(税込)4,720円(税込)
難易度(直近の合格率)34.0%(第164回)21.1%(第164回)
勉強時間の目安100~150時間250~350時間
※3級の知識がある場合
出典:日本商工会議所「商工会議所の検定試験

3級に合格している状態でも意欲をアピールできますが、2級まで取得しておくと選考でも有利となります。実際に、簿記2級を保有していることを必須条件にする求人もあるので、2級まで挑戦するのがおすすめです。

簿記以外にも、経理を目指す人におすすめな資格は下記の記事で紹介しています。簿記の知識がまったくない方でも挑戦しやすい資格を掲載しているので、ぜひご覧ください。

【関連記事】経理の資格おすすめ21選!未経験・簿記以外で役立つ資格一覧

また、簿記を取得していると、税理士や公認会計士などの難関資格にも挑戦しやすくなります。将来の可能性を広げられるので、やはり簿記の勉強はおすすめです。

経理の人手不足を解消しよう

経理職は募集をかけると応募自体はあるかもしれませんが、企業側が求めるスキルをもつ人材を確保するのは難しいでしょう。しかし、経理の人材が不足すると一人ひとりの負担が大きくなります。

時間に追われながら仕事を進めたり、長時間労働が横行したりすると集中力が低下してミスの原因となります。

さらに、労働環境の悪化が原因で、既存社員まで職場を離れるかもしれません。人手不足を解消するためには、人材育成に注力するかアウトソーシングを活用するのも選択肢の一つです。

もしも未経験から経理職を目指すならば、日商簿記3・2級の取得がおすすめです。すでに簿記の知識がある方は、税理士や公認会計士などの難関資格に挑戦するのもよいでしょう。現在経理として活躍されている場合は、キャリアアップも期待できます。

ウィズ総合事務所グループは税理士・社労士等の士業資格や簿記等の経理系の資格取得を目指している方を積極的に採用しています。

当事務所では資格取得に向けて全国でもトップクラスの支援制度を設けています。

一定の要件はありますが、教材費は事業者が全額負担しますし、最大2ヶ月間試験勉強に専念できる制度があります。
また、平常時においても1日6時間、週30時間を標準勤務時間としており、勉強、家庭、仕事のバランスがとりやすいように配慮しています。

働きながら勉強することは資格勉強にも相乗効果を生みます。

働きながら資格の取得を目指したい方は、ぜひウィズ総合事務所グループの採用の詳細をご確認いただき、よろしければご応募ください。

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この記事の監修者

ウィズ総合事務所グループ統括代表 山本庸介

  • 大阪大学薬学部、同大学院薬学研究科卒業
  • 慶応大学経済学部卒業(通信教育課程)
  • 大手製薬会社に勤務後、税理士を志す
  • 2021年7月に大野市で山本総合会計事務所を開業
  • 2023年9月に税理士法人ウィズ総合事務所を設立

税理士試験に2年で5科目合格(簿財消相法)。開業2年でグループ売上1億円に達する。

従業員が資格を取得しやすい制度・環境を構築し、本事務所を運営。事業者のお客様に対しては、本業に集中できるよう、「事務代行屋」として支援を行う。

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