税理士試験に働きながら受かるのは無理?スケジュールや勉強と両立するコツ
公開日: 2023/11/20
更新日: 2024/04/27
「収入を安定させるために働きながら税理士試験に挑戦したい」、「働きながら税理士を目指すのは無理?受からない?」などと悩む人もいるでしょう。
結論からいうと、働きながら税理士試験に合格するのは不可能ではありません。ただし、試験勉強と両立しやすい職場を選ぶことと、強い覚悟が必要です。
本記事では働きながら税理士を目指す際の注意点や、勉強と両立するコツを解説しています。
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目次
働きながら税理士試験に合格するのは無理ではない
働きながら税理士試験に合格するのは無理なのでしょうか。
勤めながら勉強をして合格する方はいます。受験勉強に専念したほうが勉強時間は多く取れるので、合格する可能性は高いでしょう。
税理士事務所で働きながら勉強するのがおすすめ
しかし、仕事と試験勉強を両立させたいならば、税理士事務所に勤務しながら勉強するルートがおすすめです。実務経験が学習している内容と関連するので、相乗効果が生まれるでしょう。
ただし、どの税理士事務所でもいいわけではありません。下記のような事務所を選ぶと、合格が遠のいてしまいます。
- 長時間労働が横行している
- 休日出勤を命じられる
- 試験日に休めない
試験勉強と両立を目指すときにおすすめな税理士事務所の特徴は、次で紹介します。
私は勉強に専念したときもあれば、税理士事務所で働きながら勉強に取り組んだ経験もあります。
個人的には、働きながら勉強に取り組むのがおすすめです。ただし合格するためには「税理士になりたい」という強い覚悟が必要です。
なお、働きながら勉強に取り組んだときの体験を、以下の記事で紹介しています。マインド面や科目の選び方などを解説しているので、ぜひご覧ください。
【関連記事】1年9か月官報合格税理士が直伝!バケモノと呼ばれた男の最速合格マインド(後半)
働きながらでも試験と両立しやすい税理士事務所の特徴
働きながら合格を目指す場合は、試験勉強と両立しやすい税理士事務所を選ぶのがポイントです。事務所選びの際は、以下の点を参考にしてください。それぞれ解説します。
- 資格取得を支援している
- 残業時間が少ない
- 税理士が複数名在籍している
資格取得を支援している
税理士試験に理解のある税理士事務所は多く、試験前休暇制度や勉強会などの資格取得を支援しているケースもあります。そのような場合は、求人にアピールポイントとして掲載されているので、チェックしましょう。
当事務所でも、試験勉強に集中できる環境を整えています。一定の要件はありますが、基本的に教材費や試験費用は負担します。気になる方は、ぜひお問い合わせください。
残業時間が少ない
残業時間が多ければ、勉強時間が減ってしまいます。税理士業界には繁忙期と閑散期がある程度決まっていますが、繁忙期を含めてなるべく残業時間が少ない事務所を探しましょう。
【関連記事】税理士の繁忙期はいつ?業務内容やスケジュール例を紹介
たとえば、夜間に電気がついていないか、インターネットやSNSに労働環境に関する口コミがないか確認してみるとよいでしょう。
税理士が複数名在籍している
税理士や科目合格者が複数名在籍している事務所は、働きやすい環境が整っていると推測できます。反対に税理士が所長のみである事務所や、科目合格者すらいない事務所は、離職率が高く人が定着していないかもしれません。
ただし「税理士もしくは科目合格者が一人もいないからブラックだ」と決めつけるのは早急です。面接で確認してみて、現時点でいないとしても過去に在籍していたか聞いてみましょう。
また、同じように税理士試験の合格を目指している受験者がいれば、勉強のモチベーションを維持できるのでおすすめです。
ホワイトな税理士事務所の特徴は、下記の記事で紹介しているので参考にしてください。
【関連記事】ホワイトな税理士事務所の特徴は?見極め方や面接で確認したいことを解説
働きながら税理士試験の合格を目指すコツ3つ
働きながら税理士試験に合格するコツを3つ紹介します。
- 勉強目安時間をきちんと把握する
- 税理士試験日から逆算して学習スケジュールを立てる
- 通信講座・専門学校・予備校を利用する
税理士試験は一度の試験で5科目にチャレンジするのではなく、数年かけて合格を目指すのが一般的です。どうしても学習期間が長期化するため、計画的に勉強を進めなければ合格が遠のいてしまうでしょう。
勉強目安時間をきちんと把握する
勉強の目安時間は、約5,000〜10,000時間かかると見積もっておきましょう。
多くのサイトでは3,000~4,000時間と紹介されていますが、理論暗記に要する時間が省かれているため注意してください。科目ごとの勉強目安時間は、下記の表を参考にしてください。
科目別 勉強時間の目安 | |
---|---|
科目 | 勉強時間 |
簿記論 | 500時間 |
財務諸表論 | 500時間 |
所得税法 | 1,200時間 |
法人税法 | 1,200時間 |
相続税法 | 1,000時間 |
消費税法 | 600時間 |
酒税法 | 300時間 |
国税徴収法 | 300時間 |
住民税 | 400時間 |
事業税 | 400時間 |
固定資産税 | 500時間 |
税理士試験日から逆算して学習スケジュールを立てる
税理士試験は毎年8月に行われるため、逆算して学習計画を立てましょう。また、何年かけて合格を目指すのかを想定して、先ほど紹介した勉強目安時間を参考にスケジュールを構築してください。
仮に毎日3時間勉強するとすれば365日×3時間で1,095時間で、5年間続けられたとしても合計5,475時間です。
ただし、勉強時間は多めに見積もっておきましょう。なぜなら、税理士試験は長期化するため、途中で結婚や育児、介護などのライフイベントが起こる可能性があるからです。
また、働きながらだと残業が発生して思うように勉強時間を捻出できない場合や、帰宅後に疲れて机に向かえない場合も考えられます。
スケジュールがずれてしまうと勉強意欲の低下にもつながるので、余裕を持たせて作成しましょう。
関連記事:税理士になるには?資格取得までのステップをわかりやすく解説
通信講座・専門学校・予備校を利用する
税理士試験に合格するならば、通信講座や専門学校の利用はほぼ必須です。費用面を気にする方も多いかもしれませんが、早く税理士として活躍できれば資金を回収できます。
税理士試験に合格したい強い気持ちがあるならば、予備校を利用すべきだといえます。
勉強のコツを3つ紹介しましたが、もっとも大切なことは覚悟を決めることです。
税理士事務所で働くだけでも、試験勉強だけに専念するのも大変です。また、試験勉強は長期化するので、勉強に集中できるときとできないときがあります。
税理士事務所に勤めて仕事ができるようになると、さらに難易度が高い業務や担当する会社の数も増えていきます。そのような状況の中で、働きながら税理士試験に合格するのは簡単ではありません。
周りの環境やテクニック的な要素も大切だと思いますが、それよりも「税理士になりたいという覚悟」が必要だと考えています。
税理士を志していても、最終的に合格できるのはわずか2%程度ともいわれています。
働きながら税理士を目指すときのよくある疑問
働きながら税理士を目指すときの、よくある疑問を3つ紹介します。
- 税理士試験は誰でも受けられますか?
- 5科目合格するまでに何年くらいかかりますか?
- 専念する場合でも独学で税理士試験に合格するのは無理ですか?
税理士試験は誰でも受けられますか?
税理士試験は受験資格が定められているので、要件を満たさなければ受験できません。ただし、令和5年度の試験から簿記論・財務諸表論は誰でも受験できるようになりました。
また、税法科目の資格要件が緩和されたので、法学部や経済学部の卒業者以外も受けやすくなっています。文系理系を問わず挑戦しやすくなったので、興味がある方は国税庁の「税理士試験受験資格の概要」をご確認ください。
5科目合格するまでに何年くらいかかりますか?
事前知識の有無によっても異なりますが、平均して10年かかるというデータもあります。
税理士試験は合格点に到達した科目は再受験する必要がなく、生涯有効となる科目合格制が採用されています。無理をして勉強を進める必要はないため、とくに働きながらの人は着実に合格を目指しましょう。
【関連記事】税理士科目合格者の市場価値はどれくらい?試験の難易度や有効期限を解説
ちなみに、一度の試験で5科目すべてに合格できた人はほとんどいません。もしも、1年で1科目ずつクリアして5年で合格できても早いほうです。
下記の表のとおり1科目ごとの難易度が高く、合格率はおよそ10%台で推移しています。
科目別 合格率の推移 | |||||
---|---|---|---|---|---|
年度 | 2022年 | 2021年 | 2020年 | 2019年 | 2018年 |
簿記論 | 23.0% | 16.5% | 22.6% | 17.4% | 14.8% |
財務諸表論 | 14.8% | 23.9% | 19.0% | 18.9% | 13.4% |
所得税法 | 14.1% | 12.6% | 12.0% | 12.8% | 12.3% |
法人税法 | 12.4% | 12.8% | 16.1% | 14.7% | 11.6% |
相続税法 | 14.2% | 12.8% | 10.6% | 11.7% | 11.8% |
消費税法 | 11.4% | 11.9% | 12.5% | 11.9% | 10.6% |
酒税法 | 13.2% | 12.6% | 13.9% | 12.4% | 12.8% |
国税徴収法 | 13.8% | 13.7% | 12.2% | 12.7% | 10.7% |
住民税 | 17.2% | 12.7% | 13.9% | 19.0% | 13.5% |
事業税 | 14.1% | 12.6% | 12.2% | 14.8% | 11.0% |
固定資産税 | 18.4% | 13.8% | 18.1% | 13.7% | 14.9% |
合格基準点は満点の60%ですが、実質は相対評価なのでライバルに打ち勝つ必要があります。働きながら合格を目指すのは難易度が高いですが、学習計画を立てて仕事と両立させましょう。
専念する場合でも独学で税理士試験に合格するのは無理ですか?
税理士試験に独学で合格するのは、たとえ勉強に専念する場合でも厳しいでしょう。ここでいう独学とは、通信講座や専門学校を利用せずに、市販のテキストだけで合格を目指すケースを想定しています。
独学での合格が難しい理由は、勉強が長期化するためにモチベーションが低下したり、なかなか合格できずに諦めてしまったりする精神的な部分もあります。
しかし、以下の2つが原因で、独学で合格するのは現実的ではありません。
- 一人では法改正に対応しきれない
- 市販テキストが充実していない
税法科目は法改正が頻繁に行われるため、自分一人でその都度対応するのは非効率です。その点、予備校を利用していれば法改正の情報を教えてもらえるので、効率よく対策ができます。
また、書店で販売されているテキストは最新の税法ではなく、1~2年前の税法をもとに作成されています。そして、税法科目のテキストはほとんど販売されていません。
上記の理由から、税理士試験に独学で合格するのは難しいでしょう。
ただし、簿記論・財務諸表論であれば独学でも合格できる可能性はあります。なぜなら、市販のテキストがいくつか販売されており、法改正もあまりされないからです。
少しでも独学で取り組みたいならば、簿記論・財務諸表論は市販テキストで対策し、税法科目は予備校を利用するのが得策です。
税理士試験の独学については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
【関連記事】税理士試験は独学で合格できる?難しい理由や合格に近づくコツを解説
税理士試験と両立できる事務所を選んで働きながら合格しよう
働きながら税理士試験の勉強に取り組むのは、不可能ではありません。とくに、税理士事務所では試験に理解のある職場も多く、資格取得を支援しているケースもあります。
ただし、長時間労働が横行している事務所に入社すると、試験勉強の時間が取れずに5科目合格するまでに長期化することも珍しくありません。
働きながら税理士試験の勉強と両立したいならば、事務所選びは慎重に行いましょう。
ウィズ総合事務所グループは税理士・社労士等の士業資格や簿記等の経理系の資格取得を目指している方を積極的に採用しています。
当事務所では資格取得に向けて全国でもトップクラスの支援制度を設けています。
一定の要件はありますが、教材費は事業者が全額負担しますし、最大2ヶ月間試験勉強に専念できる制度があります。
また、平常時においても1日6時間、週30時間を標準勤務時間としており、勉強、家庭、仕事のバランスがとりやすいように配慮しています。
働きながら勉強することは資格勉強にも相乗効果を生みます。
働きながら資格の取得を目指したい方は、ぜひウィズ総合事務所グループの採用の詳細をご確認いただき、よろしければご応募ください。
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この記事の監修者
ウィズ総合事務所グループ統括代表 山本庸介
- 大阪大学薬学部、同大学院薬学研究科卒業
- 慶応大学経済学部卒業(通信教育課程)
- 大手製薬会社に勤務後、税理士を志す
- 2021年7月に大野市で山本総合会計事務所を開業
- 2023年9月に税理士法人ウィズ総合事務所を設立
税理士試験に2年で5科目合格(簿財消相法)。開業2年でグループ売上1億円に達する。
従業員が資格を取得しやすい制度・環境を構築し、本事務所を運営。事業者のお客様に対しては、本業に集中できるよう、「事務代行屋」として支援を行う。
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