税理士の平均年収は?収入アップをめざす方法8選を税理士所長が解説

税理士の平均年収は?収入アップをめざす方法8選を税理士所長が解説

税理士は国家資格のため、年収が高いと思うかもしれません。しかし、実際はいくらくらいの収入があるのか知らない人も多いのではないでしょうか。

本記事では、税理士の平均年収や収入アップをめざす方法を徹底解説します。税理士をめざしながら税理士事務所で働く人の年収についても説明しているため、ぜひ最後までご覧ください。

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税理士の平均年収は746万円

税理士の平均年収は746万円

厚生労働省が発表した「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、税理士の平均年収は約746万円です。(公認会計士を含む)

一方で、国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」では、日本全体の平均年収が458万円と報告されているため、税理士は高年収だといえます。

ただし、この調査の対象は、企業規模が10人以上の事業所に勤めている税理士です。10人未満の職場、および開業税理士の情報は反映されていないため、参考程度にしておくとよいでしょう。

過去5年間の税理士の平均年収も掲載するので、ご覧ください。

過去5年間の税理士の平均年収
年度平均年収
2018891万8,900円
2019683万5.500円
2020958万4,200円
2021 658万6,000円
2022746万6,400円
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査

年度によって平均年収に多少のバラツキはあるものの、安定した収入が見込める職種です。

税理士業界の市場規模は拡大している一方で、税理士受験生の減少しており、成り手が不足している状態です。売り手市場ですので、待遇をよくする事務所は増えると思います。

【年代別】税理士の平均年収

【年代別】税理士の平均年収

続いて、年代別の税理士の平均年収を確認しましょう。

【年代別】税理士の平均年収
年齢平均年収
全年齢746万6,400円
20~24歳475万4,800円
25~29歳568万100円
30~34歳619万1,900円
35~39歳722万7,500円
40~44歳794万6,900円
45~49歳819万5,900円
50~54歳868万1,600円
55~59歳1071万9,100円
60~64歳598万7,800円
65~69歳661万800円
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査

一般的な業界と同様に、年齢を重ねるにつれて平均年収も上がっていきます。経験を積むことで専門性が高まる、顧客が増加するなどが要因です。

税理士業界でもITツールが普及し始めています。AIやITを使いこなせる税理士の年収はより高くなるでしょう。

ちなみに、60歳以降に年収が減少するのは、税務署OBの税理士登録が増えること、フルタイムで働く割合が減ることが理由だと考えられます。

【男女別】税理士の平均年収

男女別に、税理士の平均年収を紹介します。

  • 男性税理士の平均年収:793万円
  • 女性税理士の平均年収:595万円

男性税理士の平均年収:793万円

男性税理士の平均年収は、793万円です。

男性税理士の平均年収
年齢平均年収
全年齢の平均793万6,000円
20~24歳534万3,600円
25~29歳601万4,200円
30~34歳665万2,300円
35~39歳741万5,500円
40~44歳855万3,400円
45~49歳903万9,200円
50~54歳934万6,600円
55~59歳1121万300円
60~64歳638万3,100円
65~69歳756万4,400円
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査

税理士全体の平均年収である746万円よりも、高いことがわかります。

女性税理士の平均年収:595万円

女性税理士の平均年収は595万円です。

女性税理士の平均年収
年齢平均年収
全年齢の平均595万300円
20~24歳374万8,200円 
25~29歳380万1,700円
30~34歳409万0,000円
35~39歳630万9,200円
40~44歳533万4,600円
45~49歳660万8,300円
50~54歳605万6,800円
55~59歳960万1,400円
60~64歳467万6,800円
65~69歳298万8,000円
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査

男性よりも女性税理士の平均年収が低いのは、結婚や出産などのライフイベントを機に時短勤務になったり、職場を離れたりするからと予想できます。

そもそも、女性税理士の割合は15%ほどですので、サンプル数が少ないのも一つの要因でしょう。基本的に税理士は実力が重視されるため、男女間での格差は考えられません。

税理士は専門性が高く、人手不足に悩む事務所も多いため、一度職場を離れても復帰しやすいのが特徴です。女性で税理士になりたいと考える方は、下記の記事もぜひご覧ください。

【関連記事】女性税理士の割合は?多様な働き方やメリットを紹介

税理士をめざしながら税理士事務所で働く人の平均年収は?

税理士をめざしながら税理士事務所で働く人の平均年収は?

税理士試験の勉強をしながら、税理士事務所で働く受験生も多数います。税理士事務所の求人を探している方は、必見です。

  • 事務所の考え方で収入は異なる
  • 税理士事務所を選ぶ基準

事務所の考え方で収入は異なる

税理士事務所で働く人の平均年収は、事務所の考え方で異なるのが実情です。たとえ同じ業務・仕事量でも、事務所によって収入が変わるケースは珍しくありません。

税理士になるまでの修業期間と捉えている事務所だと、給与が非常に安いケースがあります。収入に不安を抱えながら勉強することのないよう、事務所選びは慎重に行いましょう。

税理士事務所を選ぶ基準

税理士事務所を選ぶ際は、以下の項目を事務所のホームページや求人で確認してください。

税理士事務所を選ぶ基準
項目目安数値
一人当たりの労働生産性約600万~1,200万円
労働分配率約30~60%

一人当たりの労働生産性とは、いわば一人当たりの売上高です。事務所規模によって変わりますが、約600万~1,200万円ほどです。

売上高が低ければ従業員に支払われる給与も少なくなるため、一つの目安にしてください。

労働分配率とは、付加価値に占める人件費の割合を指す数値で、高すぎても低すぎてもいけません。(※付加価値とは、企業が新たに生み出した価値のことで、税理士事務所だと付加価値≒売上と思って良いと思います。)

なぜなら、数値が高すぎると人件費に多くを費やしているため、IT化などの将来への投資が不十分な可能性があるからです。一方で、低すぎると人件費に回せていないため、スタッフへの還元率が悪いことを表します。

労働分配率は次の計算式で算出できます。なお、税理士事務所の労働分配率は、30~60%ほどが相場です。

  • 人件費÷付加価値×100

すでに税理士事務所で働いている人は、自分自身の報酬金額と年収を比較してみましょう。

たとえば、クライアントからいただく報酬金額が700万円だとします。あなた個人の年収が280万円の場合は、40%分をもらっている計算となります。

自身の年収÷担当売上の割合が30%以下は低すぎると思います。40%程度は欲しいところではないでしょうか。
弊所では、労働分配率60%(社会保険料負担込み)を目指しています。

開業税理士の平均年収は?

開業税理士の平均年収は?

開業税理士の平均年収の正確なデータは、発表されていません。冒頭で税理士の平均年収は746万円と紹介しましたが、開業税理士のデータは含まれていない点に注意してください。

そもそも、勤務税理士と開業税理士では、比較する対象が違う点を理解しておくとよいでしょう。勤務税理士は所属先からの給与が年収ですが、開業税理士は売上から経費を差し引いた金額が利益、すなわち年収となります。

たとえ、開業税理士で表面上の年収が300万円でも、過度に心配する必要はありません。事業に使用する場合は、車両や携帯代などのプライベートで共用するものも一部は経費にできます。

たしかに軌道に乗るまでは、勤務税理士の平均年収を下回る時期もあるかもしれませんが、年収が低くてもそれなりの生活水準は確保できます。

開業税理士になれば収入が青天井となるため、年収が2,000万円を超えるのは珍しくありません。年収が1億円を超える可能性も十分にあります。

税理士として年収アップをめざす方法8選

税理士として年収アップをめざす方法8選

税理士として年収を上げる方法を、8つ紹介します。

  • 労働時間を増やす
  • より多くの業務をこなす
  • 税理士として高度・高単価な業務に挑戦する
  • 営業力を身につける
  • 業績連動給与を採用している事務所に勤務する
  • 税理士事務所で幹部として働く
  • 規模の大きい税理士法人へ転職する
  • 独立開業する

労働時間を増やす

そもそもの労働時間を増やすことで、収入アップを目指せるでしょう。「労働時間を増やす」とは、決して過重労働を推奨しているわけではありません。

経験を積むと対応できる業務も増えていくため、自分自身の価値を向上させられます。また、スピード感を持って処理すると、クライアントから次々と相談されるでしょう。

伴走してサービスをしていくことで、自然と仕事が出てきます。

一般的な税理士事務所では、仕事が溢れています。
「もっと仕事をやりたい」と手をあげれば、どんどん仕事を振ってくれるでしょう。

より多くの業務をこなす

前述しましたが、税理士の仕事量は膨大です。より多くの業務をこなすためには、AIやITツールを活用して業務を効率化することが大切です。

仕事を巻き取ると自身の売上も増やせて、スキルアップにもつながります。

他にも、税理士の独占業務以外のサービスを提供するのもおすすめです。たとえば、M&Aサービスや経営コンサルティング、起業の支援などが挙げられます。

税理士業務以外にも知見を広げて、差別化を図りましょう。

税理士として高度・高単価な業務に挑戦する

税理士として高度かつ高単価な業務に挑戦することも、収入を上げる方法です。例として、資産税や国際税務などが考えられます。

上記2つの税務は、難易度が高いものの、少子高齢化やグローバル化の影響でニーズが高まっています。勉強や努力は求められますが、高度な業務を担当できるのは他の税理士と差を広げるチャンスです。

営業力を身につける

営業力を身につけるのも、収入アップには効果的です。ただし、税理士に求められる営業力とは、販売員や営業担当者のような能力ではありません。

クライアントのニーズを汲み取り、解決できる方法を提案するスキルが重要です。また、相談しやすいと思ってもらえるよう、傾聴力を身につけることも大切です。

業績連動給与を採用している事務所に勤務する

業績連動給与を採用している税理士事務所で働くと、年収がアップする可能性があります。個人が担当する売上に応じて、一定率のインセンティブを支給する事務所もあります。

そのような賃金設定であれば、開業リスクをとらずとも、勤務しながら高収入を実現できるでしょう。

弊所でも業績や個人の能力に応じて、インセンティブ給与や賞与を支給しています。気になる方は、ぜひリクルートページをご確認ください。

税理士事務所で幹部として働く

法人や事務所で働く場合、役職に就くと年収を上げられるでしょう。もしくは、最初から幹部候補者を募集している求人に応募するのも一つの方法です。

転職活動に時間を割けない場合は、転職エージェントを活用すると手間を削減できるのでおすすめです。

規模の大きい税理士法人へ転職する

年収をアップさせたいならば、規模の大きい税理士法人に転職する手段も考えられます。企業規模別の、税理士の平均年収は下記のとおりです。

企業規模別の税理士の平均年収
企業規模平均年収
10~99人693万600円
100~999人778万4,300円
1,000人以上861万4,000円
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査

大手の税理士法人といえば、big4を思い浮かべる人も多いかもしれません。big4は入社するのも業務内容も難易度が高いですが、興味があるならば挑戦してみてはいかがでしょうか。

big4税理士法人は下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。

【関連記事】big4税理士法人とは?特徴や業務内容を紹介

独立開業する

独立開業をすると、自分の裁量で仕事を進められます。収入も青天井となるため、勤務税理士よりも年収を大きく伸ばせる可能性があります。

また、税理士は顧問料をいただけるため収入の見通しが読みやすく、初期費用も比較的少ないビジネスです。独立開業に必要な費用や手順は、以下の記事で紹介しています。

【関連記事】税理士として独立するまでの流れは?必要な費用や成功するコツを紹介

税理士に将来性はある?

税理士に将来性はある?

結論、税理士に将来性はあります。なぜなら、税理士業界の市場規模は伸びているからです。

会計事務所 売上高
税理士事務所の売上高
年度売上高
20131兆4549億円
20141兆5067億円
20151兆6650億円
20161兆6275億円
20171兆6514億円
出典:総務省「サービス産業動向調査

ちなみに「令和3年経済サンセス-活動調査」によると、会計士事務所の売上高は1兆9,022億円です。

AIの普及で税理士の将来性を心配する声も増えていますが、AIにすべての仕事を奪われることはありません。やはり、人間の力が必要な業務もたくさんあるからです。

反対に、AIやITツールは作業を効率化できる手段の一つですので、デジタルに抵抗が無い人は活躍できるチャンスだと捉えられます。

また、税理士試験の受験者数は減少傾向にあるため、税理士になるには有利な環境です。興味がある方は、税理士を目指してはいかがでしょうか。

税理士になって高年収をめざそう

税理士になって高年収をめざそう

税理士の平均年収は、746万円です。日本全体の給与平均が458万円のため、税理士は高年収といえます。

税理士の年収に性別や学歴は関係ありませんので、誰でも活躍できるチャンスがあります。独立すれば収入に上限が無いため、所属するよりも大幅に収入を伸ばせる可能性もあります。

独立に不安を感じる方は、業績に応じて給与が連動する事務所で働くのもおすすめです。自分に合った方法で、年収アップを目指しましょう。

ウィズ総合事務所グループは税理士・社労士等の士業資格や簿記等の経理系の資格取得を目指している方を積極的に採用しています。

当事務所では資格取得に向けて全国でもトップクラスの支援制度を設けています。

一定の要件はありますが、教材費は事業者が全額負担しますし、最大2ヶ月間試験勉強に専念できる制度があります。
また、平常時においても1日6時間、週30時間を標準勤務時間としており、勉強、家庭、仕事のバランスがとりやすいように配慮しています。

働きながら勉強することは資格勉強にも相乗効果を生みます。

働きながら資格の取得を目指したい方は、ぜひウィズ総合事務所グループの採用の詳細をご確認いただき、よろしければご応募ください。

この記事の監修者

ウィズ総合事務所グループ統括代表 山本庸介

  • 大阪大学薬学部、同大学院薬学研究科卒業
  • 慶応大学経済学部卒業(通信教育課程)
  • 大手製薬会社に勤務後、税理士を志す
  • 2021年7月に大野市で山本総合会計事務所を開業
  • 2023年9月に税理士法人ウィズ総合事務所を設立

税理士試験に2年で5科目合格(簿財消相法)。開業2年でグループ売上1億円に達する。

従業員が資格を取得しやすい制度・環境を構築し、本事務所を運営。事業者のお客様に対しては、本業に集中できるよう、「事務代行屋」として支援を行う。

監修者(弊所代表)の詳細はこちら

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