税理士の平均年齢が60歳以上の理由は?若手が活躍するヒントも紹介

税理士の平均年齢が60歳以上の理由は?若手が活躍するヒントも紹介

税理士の平均年齢が高いと聞いたことはありませんか?実際、税理士の過半数は60代以上です。

「なぜ、税理士の平均年齢は高いの?」「若手でも参入するチャンスはある?」と気になる人もいるでしょう。

本記事では、税理士の平均年齢が高い理由をくわしく解説します。若手税理士が活躍するヒントも紹介しているので、今から税理士を目指したいと思う方は、ぜひご覧ください。

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税理士の平均年齢は60歳以上

税理士の平均年齢は60歳以上

日本税理士会連合会「データで見る税理士のリアル。」によると、平成26年時点での税理士は半分以上が60歳以上です。

税理士の年齢層の割合
税理士の年齢層
20歳代0.6%
30歳代10.3%
40歳代17.1%
50歳代17.8%
60歳代30.1%
70歳代13.3%
80歳代10.4%
出典:日本税理士会連合会「データで見る税理士のリアル。

20~30歳代の税理士はわずか10%程度で、税理士業界は高齢化していることがわかります。たとえ、30歳や40歳からの挑戦でも遅くはありません。

【関連記事】30歳から税理士を目指す方法を徹底解説!

税理士試験合格者の平均年齢は?

税理士試験合格者の平均年齢は?

税理士試験の合格者数の平均年齢は、明らかにされていません。

代わりに税理士試験の受験者数と合格者数は発表されているため、令和5年度の受験者データを確認しましょう。

税理士試験の受験者数と合格者数
受験者数(人)合格者数(人)
20歳以下1,328481 
21~25歳5,6951,694
26~30歳4,9161,332
31~35歳4,9731,168
36~40歳4,619962
41歳以上11,362 1,488
合計32,8937,125
出典:国税庁「令和5年度(第73回)税理士試験結果

税理士試験の受験者数は、41歳以上の割合が最も高いことがわかります。合格者数は21~25歳以上が最も多いものの、2番目に41歳以上が多くなっています。

試験を受ける年齢層が高めなことも、税理士業界の平均年齢が高い要因の一つでしょう。2023年度以前のデータでも、41歳以上の受験者数が最多となっています。

年齢別の受験者数(人)
20182019202020212022
25歳以下3,6573,7063,7164,2804,929
26~30歳4,9004,3983,8903,8904,131
31~35歳5,7165,3604,6194,5064,581
36~40歳5,2684,9974,3434,3344,407
41歳以上11,30911,31810,10510,28910,805
合計30,85029,77926,67327,29928,853
出典:国税庁「税理士試験

税理士の平均年齢が高い理由

税理士の平均年齢が高い理由

税理士の平均年齢が高い理由は、以下のとおりです。

  • 定年が定まっていない
  • 国税OBから税理士登録をする人が多い
  • 資格取得までのハードルが高い

定年が定まっていない

一般企業で働く場合は定年退職がありますが、独立開業している税理士には定年がありません。身体的な負担が少なく、生涯現役で働く選択もできます。

また、顧問契約を結んでいる税理士とは長期的な関係を望む顧客も多くいます。そのため60歳を超えても活動しようと考える税理士が多いのでしょう。

国税OBから税理士登録をする人が多い

国税従事者が税理士登録をするケースが多いのも、税理士の平均年齢が高い理由の一つです。一定期間勤務した国税従事者は、以下のとおり税理士試験の科目が免除となります。

  • 10年又は15年以上税務署に勤務した国税従事者は、税法科目が免除
  • 23年又は28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者は会計科目が免除

定年退職したあとに税理士登録をして活動する人も多く、令和3年度末の税理士新規登録者は、試験合格者よりも試験免除者の人数が上回っていました。(試験免除者:1,440名、試験合格者:628名)

(出典:日本税理士会連合会会報「税理士界」)

試験免除者の対象には大学院免除の方も含みますが、国税OBが税理士になるケースが多いことも税理士が高齢化する理由の一つです。

資格取得までのハードルが高い

税理士資格は取得するまでのハードルが高いのが特徴です。何度も受験を繰り返しているうちに、気づいたら年齢を重ねている場合もあるでしょう。

ここでは、税理士試験の特徴や難易度を解説します。

5科目の合格が必要

税理士試験に合格するためには、計11科目のうち5科目にクリアする必要があります。各科目の難易度は高く、1科目に合格するだけでも多くの学習時間と努力が求められます。

5科目合格するまでに数十年かかるケースも珍しくありません。

最終合格率は2%程度

税理士試験の受験者数と5科目合格者数の割合を確認すると、毎年2%程度です。

最終合格者数の割合
受験者数5科目到達者数最終合格率
201929,7797492.51%
202026,6736482.42%
202127,2995852.14%
202228,8536202.14%
202332,8936001.82%
出典:国税庁「税理士試験

勉強目安時間は5,000~10,000時間とされており、レベルの高さがわかります。クリアするまでに時間を要するため、税理士資格を取得できたときには、受験当初と比べて年齢が上がっている可能性も考えられます。

平均年齢が高いからこそ若手税理士は活躍できるチャンス

平均年齢が高いからこそ若手税理士は活躍できるチャンス

「平均年齢が高い税理士業界で、若手が活躍するのは難しそう」と不安に思うかもしれません。しかし、若手こそ活躍するチャンスです。

若手税理士が活躍できる理由は、以下のとおりです。

  • 差別化できる
  • デジタルに強くAI・ITツールを活用できる
  • キャリアの選択肢が豊富にある
  • 税理士試験の受験者数が減少している

それぞれ理由を解説します。

差別化できる

平均年齢が高いからこそ、若手税理士はベテランの税理士と差別化できる機会が多いです。

年齢が高い税理士には頼りになるイメージがある反面、相談しづらいと感じる方もいるでしょう。若手税理士は情熱や意欲を前面に出すことで、クライアントとの距離を縮めやすくなります。

また、最新の情報を取り入れつつ変化に対応できる能力は、若手ならではの強みです。

さらに、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSやYouTubeをはじめとする動画配信サービスを活用するのも一つの手段です。自身の専門知識を発信して広く知られることで、新規顧客の獲得につながります。

デジタルに強くAI・ITツールを活用できる

デジタルに抵抗が無い若い世代は、活躍の場を広げるチャンスです。現代の税理士業務でもAIやITツールが導入されているため、活用できる人材は重宝されます。

ツールを利用して作業を効率化できると、クライアントとコミュニケーションをとる機会を増やしたり、他の業務に時間を使ったりできます。多くの経験を積むことで周りの税理士との差別化につながったり、税理士としての付加価値がも向上したりするでしょう。

キャリアの選択肢が豊富にある

若手に限らず、税理士はキャリアの選択肢が豊富です。独立開業以外にも、税理士事務所や一般企業の経理部・財務部などで働く道もあります。

現在は人手不足に悩む税理士事務所も多いため、就職先に困る可能性は低いでしょう。とくに若手は、意欲やポテンシャルが評価される場合も多く、大手会計事務所big4への入社も夢ではありません。

税理士試験の受験者数が減少している

税理士試験の受験者数は、以下のとおり減少しています。ライバルが減っている今こそ、挑戦するチャンスです。

税理士試験の受験者数
税理士試験の受験者数の推移
年度受験者数
201345,337
201441,031
201538,175
201635,589
201732,974
201830,850
201929,779
202026,673
202127,299
202228,853
202332,893
出典:国税庁「税理士試験

税理士試験の合格基準点は60点以上とされていますが、実際には相対評価の要素があります。ライバルとの競争が避けられない税理士試験で、受験生が少ないのはチャンスです。

また、簿記論と財務諸表論は誰でも受験できるように変更されたため、これまで受験資格を満たしていなかった人にもおすすめです。

税理士の平均年齢:まとめ

税理士の平均年齢:まとめ

税理士の平均年齢が高い理由を解説しました。

税理士の過半数は60歳以上と、高齢化が懸念されています。平均年齢が高くなるのは、以下の理由が挙げられます。

  • 国税OBが税理士になる
  • 資格取得までの道のりが長くなりやすい

しかし、税理士業界が高齢化している今こそ、税理士を目指すのはおすすめです。ベテラン税理士と差別化しやすく、若手税理士はさまざまな方面から活躍の場を広げられるでしょう。

ウィズ総合事務所グループは税理士・社労士等の士業資格や簿記等の経理系の資格取得を目指している方を積極的に採用しています。

当事務所では資格取得に向けて全国でもトップクラスの支援制度を設けています。

一定の要件はありますが、教材費は事業者が全額負担しますし、最大2ヶ月間試験勉強に専念できる制度があります。

また、平常時においても1日6時間、週30時間を標準勤務時間としており、勉強、家庭、仕事のバランスがとりやすいように配慮しています。

働きながら勉強することは資格勉強にも相乗効果を生みます。

働きながら資格の取得を目指したい方は、ぜひウィズ総合事務所グループの採用の詳細をご確認いただき、よろしければご応募ください。

この記事の監修者

ウィズ総合事務所グループ統括代表 山本庸介

  • 大阪大学薬学部、同大学院薬学研究科卒業
  • 慶応大学経済学部卒業(通信教育課程)
  • 大手製薬会社に勤務後、税理士を志す
  • 2021年7月に大野市で山本総合会計事務所を開業
  • 2023年9月に税理士法人ウィズ総合事務所を設立

税理士試験に2年で5科目合格(簿財消相法)。開業2年でグループ売上1億円に達する。

従業員が資格を取得しやすい制度・環境を構築し、本事務所を運営。事業者のお客様に対しては、本業に集中できるよう、「事務代行屋」として支援を行う。

監修者(弊所代表)の詳細はこちら

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