税理士試験の5科目一発合格は難しい!最短合格を目指す6つのコツ

税理士試験の5科目一発合格は難しい!最短合格を目指す6つのコツ

「税理士試験の5科目に一発合格したい!」「1年で5科目の勉強をするのは難しい?」と考える人もいるでしょう。

税理士試験は11科目中5科目に合格する必要がありますが、それぞれの科目の難易度は高く、数年かけて試験勉強に取り組むのが一般的です。

本記事では、税理士試験を一発で合格するのは可能なのか、最短合格を目指すコツを紹介しています。

税理士試験の難しさや勉強の取り組み方も紹介しているので、一発合格を目指すかどうか検討できるでしょう。

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税理士試験の5科目一発合格は現実的ではない

税理士試験の5科目一発合格は現実的ではない

税理士試験5科目に一発で合格するのは、現実的ではないでしょう。実際は、数十年に一度くらいのペースで5科目一発合格者はいるため、不可能ではありません。

しかし、かなり稀なケースであり、多くの受験者にとっては達成困難な目標です。また、一発合格といっても以下のように定義はさまざまです。

  • はじめての受験で5科目一発合格
  • 何度目かの受験で5科目一発合格
  • 1科目ずつ受験して各科目一発合格

インターネットやSNSで「一発合格」の文字が飛び込んできても、中身まで確認すべきでしょう。

税理士試験の5科目一発合格が難しい理由

税理士試験の5科目一発合格が難しい理由

税理士試験の5科目一発合格が難しい理由は、以下の3つです。

  • 各科目の合格率は10~20%前後
  • とくに税法科目は受験者レベルが高く難関
  • 最終合格率はわずか2%

歴代で何人が5科目一発合格したのか、正確なデータは公表されていません。しかし、かなり少ない人数だと予想できます。

各科目の合格率は10~20%前後

税理士試験の一発合格が難しい理由の一つめは、各科目の合格率が10~20%前後だからです。過去5年間の科目別合格率をまとめたので、ご確認ください。

各科目の合格率
年度20232022202120202019
簿記論17.4%23.0%16.5%22.6%17.4%
財務諸表論28.1%14.8%23.9%19.0%18.9%
所得税法13.8%14.1%12.6%12.0%12.8%
法人税法14.0%12.3%12.8%16.1%14.7%
相続税法11.6%14.2%12.8%10.6%11.7%
消費税法11.9%11.4%11.9%12.5%11.9%
酒税法12.7%13.2%12.6%13.9%12.4%
国税徴収法13.9%13.8%13.7%12.2%12.7%
住民税14.7%17.2%12.7%13.9%19.0%
事業税16.4%14.1%12.6%12.2%14.8%
固定資産税17.3%18.4%13.8%18.1%13.7%
出典:国税庁「税理士試験

1年で1科目に合格するのも難しく、十分な時間の確保と計画的な学習が欠かせません。それを、5科目一気に取り組むのはかなり困難です。

とくに税法科目は受験者レベルが高く難関

税理士試験の一発合格が難しい理由の2つめは、税法科目の受験者レベルが高いことです。ちなみに、簿記論・財務諸表論を会計科目、残りの9科目を税法科目と呼びます。

受験者はまず、必須科目である簿記論・財務諸表論に合格してから税法科目に挑戦するのが一般的な流れです。つまり、税法科目の受験者のほとんどは、すでに会計科目に合格する知識を有するレベルであることがわかります

ところが、税法科目の合格率は10%台しかないことから、税法科目に合格する難しさがわかるでしょう。

最終合格率はわずか2%

受験者数に対し、5科目に合格した人の割合はわずか2%前後です。

最終合格者数の割合
受験者数5科目到達者数最終合格率
令和元年29,7797492.51%
令和2年26,6736482.42%
令和3年27,2995852.14%
令和4年28,8536202.14%
令和5年32,8936001.82%
出典:国税庁「税理士試験

税理士試験は5科目に合格することすら難しく、途中で諦めてしまう受験生もいます。

高い目標を掲げて勉強に取り組むのは素晴らしいことです。しかし、ハードルを上げすぎて挫折することもあるので注意しなければなりません。少しずつでも構わないので、自分のペースで取り組むことが大切です。

税理士試験に最短合格する6つのコツ

税理士試験に最短合格する6つのコツ

税理士試験に最短で合格するコツは、以下の6つです

  • 1.税理士になると強く決意する
  • 2.5,000~10,000時間勉強する
  • 3.勉強習慣を身につける
  • 4.複数科目同時に受験する
  • 5.予備校を活用する
  • 6.税理士事務所で働きながら勉強する

5科目一発合格は難しいと解説しましたが、各科目に一発で合格するのは不可能ではありません。それぞれのコツを具体的に解説します。

1.税理士になると強く決意する

税理士試験の勉強をはじめる前に、まずは「税理士になる」と強く決意しましょう。なぜ税理士になりたいのか、どのようなサービスを提供したいのかまで、明確にしておくことがポイントです。

仮に1年で1科目ずつ勉強する場合でも、5年はかかります。残念ながら不合格となれば、さらに長期化してしまいます。

長い戦いが予想されますが、合格への強い意志があれば挫折しそうになっても踏ん張れるでしょう。

2.5,000~10,000時間勉強する

5科目の勉強目安時間は、5,000〜10,000時間程度を見積もっておきましょう。

大手予備校サイトでは、勉強目安時間は4,000時間と紹介されていますが、理論暗記の時間が含まれていない点に注意が必要です。

各科目の勉強目安時間をまとめたので、参考にしてください。

科目別の勉強目安時間
科目目安時間
簿記論500時間
財務諸表論500時間
所得税法1,200時間
法人税法1,200時間
相続税法1,000時間
消費税法600時間
酒税法300時間
国税徴収法300時間
住民税400時間
事業税400時間
固定資産税500時間

3.勉強習慣を身につける

勉強習慣を身につけることも、税理士試験を突破するためには欠かせません。習慣が身についていない場合は、自分なりの方法を確立することが大切です。

自分に合った学習スタイルや予習・復習のサイクルを見つけ、効率的に学習を進めましょう。習慣化できるまでに時間がかかるかもしれませんが、コツコツと努力を重ねることが最終合格につながります。

4.複数科目同時に受験する

少しでも早く税理士になりたいと考えるならば、複数科目の同時受験を検討しましょう。

とくに、簿記論と財務諸表論の同時受験はおすすめです。この2科目は関連性が高いため、効率よく学習できるからです。

また、簿記に自信がある場合は、追加で1科目受験するのもよいでしょう。もしも1年目に3科目合格できれば、残りは2科目に集中できます。

保守的な考えで1年に1科目ずつ受験しても、5年はかかります。それならば、1年で2科目受験すると3~4年程度で合格できる可能性があるため、複数受験に挑戦してはいかがでしょうか。

1年目に3科目、2年目に2科目受験して、1年9ヶ月で官報合格した経験を以下の記事で紹介しています。ぜひご覧ください。

【関連記事】1年9ヶ月官報合格税理士が直伝!バケモノと呼ばれた男の最速合格マインド(後半)

5.予備校を活用する

最短で合格を目指すなら、予備校を活用しましょう。税理士試験に独学で挑戦するのはおすすめできません。

なぜなら、税法は頻繁に改正されており、税法科目を一人で対策するのは効率が悪いからです。また、書店で販売されているテキストは1~2年前の情報をもとに作成されているため、最新の情報は反映されていません。

予備校を利用すると料金はかかりますが、その分プレッシャーを感じながら勉強できます。税理士になれば高所得が期待でき、受験勉強にかかった費用も回収しやすくなります。先行投資にはなりますが、予備校の利用も一発合格のコツです。

6.税理士事務所で働きながら勉強する

税理士事務所で働きながら勉強に取り組むのもおすすめです。

たとえば、以下のようなメリットがあります。

  • 実務を通じて勉強内容を理解しやすい
  • 周囲と切磋琢磨できる
  • 資格取得を支援している事務所もある

実際に、税理士試験の勉強をしながら税理士事務所で働く人も多くいます。互いに励まし合えるため、モチベーションを維持できるでしょう。

また、試験前長期休暇やテキスト代の一部補助など、資格取得を支援している事務所もあります。

働きながら税理士試験に取り組みたいと考えている方は、こちらの記事もあわせてご参照ください。

【関連記事】働きながらでも税理士は目指せる?勉強と両立するコツを解説

税理士試験の早期合格を目指そう

税理士試験は5科目同時ではなく各科目一発合格を目指そう

税理士試験に5科目一発合格するのは、現実的ではありません。実際に達成した方もいるため不可能ではないものの、かなり厳しいでしょう。

税理士試験に5科目一発合格するのは、現実的ではありません。実際に達成した方もいるため不可能ではないものの、かなり厳しいでしょう。

大前提として目的は一発合格ではなく、税理士になることです。だからこそ最速で合格を目指すために、複数科目合格を目指して勉強に取り組む必要があります。

1年1科目ずつ受験して5年で合格するよりも、1年で2科目を受験して3年・4年ぐらいで合格する可能性に挑戦するほうがおすすめです。

仮に不合格になっても勉強した分の知識は役立ちます。また、自身を追い込むことで勉強習慣の獲得や効率のよい学習スタイルを身に付けやすいメリットもあります。

ウィズ総合事務所グループは税理士・社労士等の士業資格や簿記等の経理系の資格取得を目指している方を積極的に採用しています。

当事務所では資格取得に向けて全国でもトップクラスの支援制度を設けています。

一定の要件はありますが、教材費は事業者が全額負担しますし、最大2ヶ月間試験勉強に専念できる制度があります。
また、平常時においても1日6時間、週30時間を標準勤務時間としており、勉強、家庭、仕事のバランスがとりやすいように配慮しています。

働きながら勉強することは資格勉強にも相乗効果を生みます。

働きながら資格の取得を目指したい方は、ぜひウィズ総合事務所グループの採用の詳細をご確認いただき、よろしければご応募ください。

この記事の監修者

ウィズ総合事務所グループ統括代表 山本庸介

  • 大阪大学薬学部、同大学院薬学研究科卒業
  • 慶応大学経済学部卒業(通信教育課程)
  • 大手製薬会社に勤務後、税理士を志す
  • 2021年7月に大野市で山本総合会計事務所を開業
  • 2023年9月に税理士法人ウィズ総合事務所を設立

税理士試験に2年で5科目合格(簿財消相法)。開業2年でグループ売上1億円に達する。

従業員が資格を取得しやすい制度・環境を構築し、本事務所を運営。事業者のお客様に対しては、本業に集中できるよう、「事務代行屋」として支援を行う。

監修者(弊所代表)の詳細はこちら

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